こんにちは、トイトブルクです!
単位の重要性
単位はオマケ?
化学の計算をするとき、単位についてどうお考えですか?
単位?答えにつけるオマケでしょ?
と考えているなら、認識を改めましょう。
実は単位は決定的に重要な要素です。
これから説明するとおり、単位を活用すると問題を解きやすくなったり、公式を丸暗記しなくて済むようになったりします。
単位には意味がある
次の式に違和感をもつことはないかと思います。
$$ 180 + 75 = 255 $$
では次のようになっていたらどうでしょうか?
$$ 180[cm] + 75[kg] = 255 [?] $$
cmとkgを足すってなんだよ!
と思うのが普通ですよね?
そうです。この計算には物理的な意味がありません。
この程度の計算ならばすぐに違和感に気づくと思いますが、少し複雑な計算になると似たような計算をやってしまうことがあります。
この種のミスを防ぐにはどうしたらよいでしょうか?
単位を明記して計算しよう
上記のようなミスを防ぐためには、普段から単位を明記して計算しましょう。単位を明記して計算すると少し面倒ですが、間違いが削減できます。
2つ実例を挙げて説明しましょう。
単位を意識した計算例
molの計算
高校化学で最初につまずきやすいのが、molに関する計算です。molの計算では単位の換算が頻繁に登場します。
みなさんは、次の公式は覚えているでしょうか?
$$ 1 mol = 6.0 \times 10^{23} 個 = (分子量・式量) g = 22.4 L $$
※ここで\(22.4 L\)になるのは標準状態の気体の話です。
物質量の単位換算で混乱してしまう方が多くいるようです。これらの関係は、下記のように単位を意識するとわかりやすくなります。
- アボガドロ定数の単位は\( mol^{-1} (/mol) \)
- 分子量・式量の単位は\( g/mol \)
- 気体の体積へ換算するときの単位は\( L/mol \)
実際の問題に応用してみましょう。
5 molの気体の酸素(分子量32)について以下の問いに答えよ。
(1) この酸素分子の個数を求めよ。
(2) この酸素の質量を求めよ。
(3) この酸素の標準状態における体積を求めよ。
では単位を意識して計算してみましょう。
$$ 5 [mol] \times 6.0 \times 10^{23} [mol^{-1}] = 30.0 \times 10^{23} = 3.0 \times 10^{24} $$
よって\( 3.0 \times 10^{24} \) 個
ここで単位に注目すると、
$$ [mol] \times [mol^{-1}] = 1 (無単位) $$
となります。個数に単位はないので、これが答えです。
$$ 5 [mol] \times 32 [g/mol] = 160 [g] $$
ここで単位に注目すると、
$$ [mol] \times [g/mol] = [g] $$
となります。
$$ 5 [mol] \times 22.4 [L/mol] = 112.0 [L] $$
ここで単位に注目すると、
$$ [mol] \times [L/mol] = [L] $$
です。
質量パーセント濃度からモル濃度への変換
質量パーセント濃度からモル濃度への換算公式は、見た目がわかりにくい。
分子量M、密度d、質量パーセント濃度X%の水溶液のモル濃度Y
$$ Y = d \times \frac{1000}{M}\times \frac{X}{100} $$
何でこんな式になるの?
という反応が普通かと思います。
この公式も単位に注目すると理解しやすくなります。
- 密度dの単位は\( g/cm^3 \)
- 分子量Mの単位は\( g/mol \)
- 質量パーセント濃度Xは無単位
- モル濃度Yの単位は\( mol/L \)
です。説明のため質量と体積を次のようにおきます。
- 質量aの単位は\( g \)
- 体積bの単位は\( cm^3 \)
目標は$ g/cm^3 $を$ mol/L $に変換することだから、次のように考えましょう。
- gをmolに変換する
$$ a[g] \div M[g/mol] $$
$$ = a[g] \times \frac{1[mol]}{M[g]} $$
$$ = \frac{a}{M}[mol] $$ - \( cm^3 $を$ L \)に変換する( \(1 L=1000 cm^3 \)を利用)
$$ b[cm^3] \div 1000 [cm^3 / L] $$
$$ = b[cm^3] \div 1000 \times [L / cm^3] $$
$$ = \frac{b}{1000}[L] $$ - 上の式を下の式で割る
$$ \frac{a}{M} [mol] \div \frac{b}{1000} [L] $$
$$ = \frac{a}{b} \times{1000}{M}[mol/L] $$
$$ = \frac{1000 d}{M} [mol/L] $$ - 最後に、質量パーセント濃度をかける
$$ \frac{1000 d}{M} \times \frac{X}{100} $$
以上の手順で最終的に
$$ Y[mol/L]= d \times \frac{1000}{M}\times \frac{X}{100} $$
となります。
密度\(1.84 g/cm^3 \)、式量\( 98 g/mol \)、質量パーセント濃度\( 98\% \)の硫酸のモル濃度を求めよ。
$$ 1.84 [g/cm^3] \times \frac{1000[L/cm^3]}{98[g/mol]} \times \frac{98}{100} $$
$$ = 1.84 \times \frac{1000}{98} \times \frac{98}{100} \times [\frac{g \cdot cm^3 \cdot mol}{cm^3 \cdot l \cdot g }] $$
$$ = 18.4 [mol/L] $$
単位をおろそかにしない:まとめ
いかがでしたか?
- 単位に注目すれば、公式の意味がわかる
- 求める量に対する計算式も立てやすくなる
単位はオマケではなく計算の要です。単位を意識して、化学を得意にしていきましょう。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!この記事が少しでもみなさまのお役に立てばうれしく思います。
コメント